免震構造と制震構造-2

前回
前回の通りの「耐震」と言う考え方を考慮して「免震」「制震」と言う考え方に続く。
免震とは「振動を免れる事」
制震とは「振動を制御する事」
基本方針は字のごとくそのままになっている。
先に免震から。
耐震設計をやっている時に「地震に対して耐えるのではなく、建物への地震による入力エネルギーをキャンセル(減らす)しよう」と言う考えで方針を決めたものが免震設計となっている。
その方法はいくつか有りリンク先に詳しいが、どれも建物を地面から離す事を基本として考えられている。
水の中に浮いている時に地震が来ても振動を感じないが、それは水が地震のエネルギーを吸収している。建物にもそれと同じ様に地面と建物の間に地震のエネルギーを吸収するものを挟めば建物に振動を生じない。
流石に建物を水の中に浮かべる事は出来ないので、一般的には積層のゴムを免震層とし、建物へ入力される水平振動を減らす方法を取っている。
免震構造はその性質上、水平方向の振動には強いが垂直方向の振動には効果が弱い。
また、建物が水平に動いて振動エネルギーを吸収するので、建物の周りに空間が必要で有る。これはエクスパンション・ジョイントと同じ考え方で有る。
これに対して「制震」は「建物への地震による入力エネルギーを制御しよう」と言う考えで方針を決めたものが制震設計(構造)となっている。
これも方法はリンク先に詳しいが、制震構造の場合は建物全体において振動を減らしたり、吸収したりして建物への地震の入力エネルギーを減らす事をしている。
この様な考えで行くと、免震もある意味では制震に含まれると考えられる。
制震構造の場合、ソーラー発電などと同じ様にアクティブ・パッシブ・その中間に分けられ、コンピューター制御などもされている。その為パッシブ以外の場合は電源が必要で有り、自家発電装置なども含み大掛かりになってしまう。
「耐震」「免震」「制震」と違いを簡単に示してきたが、実際にどれが一番良いのかと言うのは言えない。
大規模建築物ならば制震や免震を基本にすれば良いと思うが、そもそも建築基準法上で耐震設計をしなければいけないことになっている。
法律上で決められていて、しかもその基準が現在で考えられる(経験してきた)地震の最大値に耐えられる様にしているのだから、制震・免震はそれに対する保険のようなもので採用する義務は無い。
当然コスト的にも相当跳ね上がってくるし、技術力が必要なので施工出来るゼネコンも絞られてくる。
現実的には大規模建築物には耐震・免震・制震どれも採用されその混合も見られるが、個人住宅などの小規模建築物にはコストが掛かり過ぎて採用されない場合が多い。
住宅メーカーが開発して単価を下げて免震構造を歌っているのも有るが、同程度のコストを掛けて耐震設計を強くした場合とより良いのかは一概には言えない。
もしそのような地震に対して保険を掛けた建物に住みたいのならば、最近多い超高層高級マンションに住むのが一番現実的だろう。

この記事へのコメント

  1. 免震も制震も特別な構造計算方や特許・大臣認定がないとだめそうだからそれもそれで、中堅以下のゼネコン・設計事務所にもかなり狭き門ですね。
    というより、東京に直下型の大地震が来てないから、超高層の地震対策として計算ではクリアしているが実績がないというのが、歯がゆい現実問題である。

  2. >>kagamiさん
    特許・大臣認定など色々考えると、一生免震・制震構造なんてやらないかも知れない。
    まあ、それは良いとして、確かに実物を経験していないから実情はどうか?と言うのはあるね。
    免震構造なんて縦揺れには効かないと思うし。
    かといって地震が来て欲しい訳でもない。