「仮住まい」と戦後日本 – 平山洋介

たまたま紀伊國屋書店のweb見ていたら、過去の購入よりお勧めされて手に入れた。実は戦中・戦後からの住宅の変遷は好き。それも名建築とかではなく、普通の住宅の流れを知るのが好きで、地味に自分の設計でも影響を受けている。

 

今回は「仮住まい」という言葉からその様な住宅の変遷が書かれていると思ったが、読むと住宅に対する住み手の変化や、経済や社会的影響から住宅に対しての考えがどの様に変化し、それが住宅事情にどの様に影響しているかが書かれてる。

これは共著「建築学科のための不動産学基礎」を書いている時に気になって、どの様に表現するか、どの様にその広い世界を学んで行くかなどを考えていた部分でもある。丁度今、自分が空き家問題なども含めて考えている時に欲しいと考えていた内容になる。

 

この本ではまず、親の家や賃貸に住んでいる「仮住まい」と、自分で購入して死ぬまで住める「定住」を定義している。戦後日本では子供、若い頃、新婚などは仮住まいをしていて、最終的には定住を目指す状態が一般的だったとしている。「夢のマイホーム」などを考えるとその通りだと思う。

しかし時代と共に考え方は変わり、定住を目指さない人や目指せない人、仮住まいで豊かに暮らす人なども出て来ている。

何故変わったのか?その理由は何なのか?そこから見える問題は何なのか?をこの本では探っている。

 

その探り方も「住宅政策」「親同居の有無」「配偶者の有無」「性別」「収入」など、色々な歴史と数字から検討している。この辺りは元々著者が論文を多く書いているからだと思う。

また晩婚化や低賃金化などの面からも検討している。

 

その他に「仮設住まい」として、震災からの定住の厳しさと問題を取り扱っている。この範囲になると住宅の問題だけでなく、復興に対する政策や建築の課題も見えてくる。

 

内容というか書き方は凄くまとまっていて、どの章も構成が似ている様に気を付けて書かれている。(気付くのに時間掛かったが)しかし情報量と取り扱う項目や軸が多いので、慣れるまでは凄く複雑に感じる。一通り読み返してから目次を見ると凄く理解が深まるが。

そういう意味でも、この本はどちらかというと論文と同じ様に資料だと思う。時々見返して内容を確認し、それを元に自分の考えをまとめる。

自分は基本的に読み返す方では無く、覚えている範囲で実践や思考をし、本当に必要と思う時にまた最初から読み返す。これは小説とかに多い。資料の様なものは手元に置くが、こちらは逆に全部読む事は少ない。

資料や知識の為の本で通読し、基本を頭に入れた上で手元に置いて繰り返し確認するという本は本当に少ない。でもこの本はその様になると思う。