教室と人数

学校を設計すると普通ならば教室を考えます。
今では教室と言うか、教育方針も色々あるので、教室の種類も沢山あります。
30歳過ぎの人は恐らく殆どが、方廊下式の同じ形の教室が並んだ学校が殆どでしょう。変化があるとしたら中廊下になるくらいかな。
最近では「自由な学習」「教科を超えた学習」などと色々な考えで、廊下と教室との境が判らない、壁の無い教室や、自分の席が決まっていない教室などがあります。
建築的に考え、建築的に教育の方針を吟味し、建築的に建物の形態を理解すると納得する部分もありますが、実際には自分が経験した事と離れているので、その効果は未知数です。
色々な教育方針や学校を考えても、今の時点では「昔の学校」の方が教育として成り立っていたように思えるし。
そんな教室、一応設計指針があります。
確か生徒一人当たり1.5㎡程度、生徒数40人で60㎡、席から黒板までの距離を考慮して8m、片側採光の効果から幅7.5m(一応片側採光の限度は13m程度)。こんな数字より大体の大きさが導かれます。
昔の小中高の教室はこれより少し大きくして9×8mくらいが殆どだと思います。
昔いた事務所で、学校関係の調査を何十件かやったのですが、公共建築のせいもあって、判を押したように量産型でした。
設計を始めて数年してから知ったのですが、基本的に教室の窓は左側に有ります。そう言えば知っている教室は全部そう。
その理由は「左側からの採光ならば、筆記をしている右手の手暗がりにならないから」らしいです。左利きの僕はどうするのですか?
まあ、特に教育上は問題ないでしょう。
最近では文部省の推奨として、1教室40人らしいです。
確か僕が小学生の時は47.8人くらいいました。でもそれ程狭いと思わなかったです。恐らく今の学校運営の人々や先生は、同じように生徒が多い時に育っているので、1教室当たりの人数が多くてもそれ程気にしないのではと思います。
この人数の問題、公立校ならば余り問題ないのかもしれませんが、私立では結構シビアです。
私立では学校も企業です。寄付も有りますが、生徒からの入学金・授業料などが主な収入源です。この場合学校もボランティアでないですから、生徒1人単位で利益が出るようになっているはずです。学校の場合は団体数で割り増しとか無いですから。
この考えだと予備校や資格学校などは「なるほどなー」って思います。英会話などで生徒数制限を売りにしている所もありますが、それもそもそも許容範囲以上の生徒数の学校が多かったからでしょう。
一応学校側も全ての生徒が意欲有るという前提で計算しているみたいなので余計苦労しているみたいですが、教育的には少数、経営的には多数と言う矛盾をバランス良く解決しなければならないので、なかなか新しい教室の大きさに踏み切れないのが殆どです。