2つの住宅ローン(メールマガジン No9)

こんにちは。
廣瀬協力建築設計事務所のメールマガジンです。

今回は、「住宅ローンと建築設計の関係」をお届けします。

住宅ローンは、建築設計の実務と密接に関わっています。少し複雑なテーマでもあるため、複数回にわたって、次のような内容を整理しながらお伝えしていきたいと思います。
1.2つの住宅ローン(今回)
2.書類提出のタイミング
3.よくあるミス

個人の注文住宅を設計した経験が少ない方にとっては、意外と見落としやすいポイントですが、住宅ローンの手続きが滞ると、着工や竣工だけでなく、設計料や工事費などの支払いが遅れることにもつながります。
この記事が、住宅設計に携わる皆さんのお役に立てれば幸いです。

今回は、住宅ローンの基本的な事項として、設計者の業務にも大きく影響する「住宅ローンの種類」について整理します。

住宅ローンの種類

一口に住宅ローンといっても、いくつかの種類があります。
ここでお話しするのは、変動金利や固定金利といった「金利の種類」ではありません。そうした違いについては、皆さんもよくご存じかと思います。
建築設計の実務において重要なのは、「どのタイミングで、どのようにお金を借りるのか」という融資の仕組みです。
注文住宅に関わる住宅ローンは、大きく次の2つのタイプに分けて考えることができます。
・分割融資型
・つなぎ融資型

分割融資型

分割融資型は、注文住宅と相性のよい融資方法のひとつです。
土地購入時、着工時、中間時、竣工時など、それぞれのタイミングに合わせて、建主が金融機関から段階的に融資を受けます。
設計料や工事費などの支払い時期に合わせて資金を調達できるため、注文住宅の建設プロジェクトに適した仕組みといえます。

一方で、設計者として注意しておきたいのが、「融資後の期限」です。
金融機関によって条件は異なりますが、最初の融資が実行されてから、6か月~12か月程度で竣工することを求められます。
この条件は金融機関から建主には明確に伝えられていても、その切迫感まで設計者に十分共有されていないことがあります。
設計や工事のスケジュールが延びれば、住宅ローンの条件にも影響する可能性がある。そのことを設計者側も認識しておく必要があります。

つなぎ融資型

つなぎ融資型では、住宅が竣工した段階で、住宅ローンの融資が実行されます。
では、それまでに必要となる土地代や工事費などは、どのように支払うのでしょうか。
そこで利用されるのが、「つなぎ融資」です。

住宅ローンが実行されるまでの間、建主は一時的に別の融資を受け、その資金を土地購入費や工事費などの支払いに充てます。
一般に、つなぎ融資は住宅ローンよりも金利が高いため、利用する期間が長くなるほど、建主の金利負担も大きくなります。

また、分割融資型と同様に、最初のつなぎ融資が実行されてから一定期間内に竣工することを求められます。
さらに、つなぎ融資ではその期間中に金利負担が発生するため、工期が延びれば、その分だけ建主の負担が増える可能性があります。
そのため、建主にとって「できるだけ早く竣工してほしい」という要望は、、金銭的な事情を伴った切実なものとなります。

設計者にとっても「住宅ローン」は重要

住宅ローンは、一見すると、建主と金融機関との間の話に思えるかもしれません。
しかし実際には、設計スケジュールや工事スケジュール、さらには設計料・工事費の支払いにも大きく関係しています。

設計者が住宅ローンの仕組みそのものを詳しく説明する必要はありませんが、「いつまでに何が必要なのか」「融資の実行時期が設計や工事にどう影響するのか」は、把握しておく必要があります。
住宅ローンを「建主のお金の話」として切り離すのではなく、住宅設計のスケジュールを左右する要素のひとつとして捉えておくことが大切です。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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記事協力:マットライン 本山哲也(建築不動産コンサルタント)