現在、新築分譲マンションの改修を行っている。
マンションを購入するけど「間取りが気に入らないからそれを変えたい。ついでに少し水廻りとかも交換したい」という内容。
内容的にはもちろんできるので相談に乗り、何だかんだとやって年内に終わる予定。
工事としてはマンションの工事を全て終わらせて引き渡しを受け、他の入居者と同時に入居可能になってからお願いしている施工会社(工務店)が乗り込んで解体を始め、それから1か月くらいかけて施工をするという流れ。
建築業界にいるとこの流れは普通だと思うが、建築をやっていない人から見たら無駄が多いなどの疑問が湧くと思う。
・なんで壊すのに元の形を全て作るの?
・なんで入居前に工事しないの?
この2点が当然の様に疑問になると思う。
この疑問点は結果的に材料・コスト・時間の無駄へ繋がり、そのまま発注者・環境へ影響する。
まず「壊すのに元の形を作る」即ち広告に出されているプランを一旦作りその後に必要な部分を解体して新しく作る。これはマンションを施工する会社は引き渡し後に壊す部分を作っているので、その部分を作る材料・人工・時間・お金が無駄になる。
そして改修工事をする工務店はわざわざ不要な部分を作られているので、その部分を壊す人工・時間・お金が無駄になる。
次の「入居前に工事」については、まず隣接する住人が迷惑をする。工事には何かしらの音が発生し、場合によってはだいぶうるさくなる。入居を心待ちにして引越をしたら、いきなり隣接住戸が工事をしている。これは嫌な気持ちになる。
またマンションだと引渡時に引越が重なり、販売業者で引越の順番などを調整する。トラックの駐車できる台数や一気にエレベーターに殺到しない様にするため。そんな時期に工事車両と材料搬入の為に職人が入ったら余計混雑する。
この対応について販売会社によって違いは有ると思うが、一般的には今回と似た対応が建築業界としては行われると思う。
まず建築業界側からの理由をいくつか挙げていく。
・個別に対応していたら把握しきれなくなってしまう。
・工期がコントロール出来ない。
・確認申請、性能評価などへの対応。
・検査への対応。
・施工会社の手間が増える
マンションなどの部屋が沢山有る建物は、部屋ごとでは無く建物全体で色々な申請・許可が下りている。そうなると工事完了時にある1つの部屋が出来ていないだけでも未完となり、その時点で建物全体が使えなくなる。ある1つの部屋の為に全体に影響を及ぼしてはならないので、その意味で販売会社は制御が出来ない個別対応を避ける。
各部屋ごとに改修設計が入ったとしても、その時の設計者は販売会社と契約はしておらず入居者としか契約をしていない。基本的に工期に間に合う様に仕事を進めると思うが確実ではないので、若干でもそこにリスクが生じる。同時に販売会社には入居が遅れると違約金などが発生するのでそれは避けたい。この万一の遅れは検査など全てに影響するので、そのリスクを改修設計をする設計者が認めないと厳しい。
また施工会社も途中から段取りと違う事が発生するので嫌がる。万一連絡違いで指示と違う事が発生すると、その部分は基本的に施工者のやり直しになる。
今回は自分がそういう手続きやリスクを把握していたので、販売会社へその様な手続きをやる事も含めて相談したが受け入れられなかった。しかしその理由は上記の様な部分も有るが、半分以上はその意味を理解していないのも分かった。
1年近く販売会社と話をしたが、ずっと工事に対する感覚にズレがあり、担当者だけでなくその上司なども理解をしていなかった。この辺りは販売会社のレベルにも影響すると思う。
自分が今までに関わった販売会社・施工会社との意識の差があり過ぎて、ずっと不安と疑心暗鬼で進んでいた部分もある。
しかしこの様な感覚の元をたどると、建物・購入者(住み手)への意識の違いだと思う。
最初に書いた通り、目の前に起こる事への当たり前の感覚。「入居して直ぐに工事でうるさかったら嫌だろう」とか「造っても直ぐに壊したら無駄だろう」とかいう意識が無くなっている。その前に建物を商品やお金でしか見ていないと思う。
実際には面倒だけど物理的に不可能な事ではない。コスト的にも現実性を持たせる事が出来ると思う。
それこそ今後はその様なオプションが売りになる可能性も有る。実現には課題は有るが、需要や現在の社会状況を考えると試してみる価値は有ると思う。既にコーポラティブハウスとして実現しているものもある。その中間は出来るはず。
実現には販売会社や施工会社へアプローチをして、可能性を探る必要が有る。でも個人的にはその方法はそれほど難しく無いと思う。一番コントロール出来ないのは購入者の判断に期限を設ける事だが、そこは幾つかの方法が考えられる。
小規模でも良いから企画からやってみたいな。