高齢者住宅

先日高齢者社会を特集している業界誌を読んでいて、自分等世代を核とする高齢者予備軍の運動不足が問題という記事がありました。

高齢者問題とスポーツ医学あたりを専門にしている人らしいですが、社会人を対象としたここ10年のデータで面白い事を話してました。
・現在と10年前でも日常的に運動する人は3:7で変らない。
・運動しない7割の中で「これから運動しようと考えている」と答えるのはその半分。
・これより全体の半分は運動をする意思が無い。
同じ記事の中で「年齢に関係なく運動を行う事などによって、筋力や脳機能が向上する事は証明されている」と言うデータが紹介されています。また高齢者のリハビリや諸病気の進行防止の為に運動療法を行っていると、その子供などの身内から「辛そうで可哀相だからやめさせて欲しい」と言われる事が多いとなっています。子供などの身内の世代の多くは30-40代くらいで、親世代が運動をせずに老化していく事は、本人だけでなく子である自分たちにも不幸だと言うことを理解し直面していないと書かれていました。
個人的に運動は必要だと考えているので、この記事の内容にとても共感します。そして一般的な高齢者住宅のあり方に再考の必要があるのではないかと思いました。
用途や規模によりますが、建物を建てる際に行政にバリアフリーに関する書類を提出します。これは「バリアフリー」であり「高齢者」では無いのですが、一般的にこれが高齢者対応の基準に捉えられている感があります。
確かにやらないよりは良いのですが、これは公共建築に対応したものなので若干スケールが大きいため、住宅レベルで考えると負担が大きいと考えます。最低限の段差解消と手摺、出入口幅の確保以外は導入するのは厳しいと思います。
また、上記の通り健常時にはむしろバリア(負荷)が必要です。上記の記事でも「健常者が運動するように建物・街づくりでは、あえて運動するように(不便に)造る必要がある」と言及しています。
この様に考えると、健常時には負荷を掛け、老化・障害を負った時は補助のある建物が必要になります。しかしそう簡単に建替えは出来ませんし、改修でも経済的負担は大きいです。
しかも対応する内容も状況によって違く、元の建物状況によって出来る内容が限られます。
以上より、当然の事ですが設計に求められるのはこの様なものに対応出来る可変性であり、高齢者環境に対する知識・理解・想像力です。
現在でもしっかりとした知識などを持ち、しっかりとした可変性を持つ建物を設計する人は数多くいます。しかしその逆も多いのも確かです。また、戸建とマンションでの違いもあります。
建物の負荷は段差などの目に見えるものだけでなく、温熱環境なども含まれます。これにはエネルギー問題も関係してきます。また、高齢者住宅に関する要因は建築的なものだけでのく、高齢化社会・地域コミュニティー・介護・核家族・空家問題など様々なものがあります。
職業として高齢者問題に対応した建物を造る必要があると同時に、個人として身体を保つ必要がある事を実感します。また、仕事で打合せする時に、建物だけでなく中で生活する人間の意識への啓蒙も必要だと思います。