確認申請を行った建物(敷地内に付属する物置や簡易な増改築以外は殆ど)の場合は、建築基準法でその建物が確認申請通りに造られているかを行政や指定確認申請機関による検査を受けて確認してもらわなければなりません。これを完了検査と言います。
行政が行う行為ですので、検査後には完了検査済証という書類が発行されます。紙切れ一枚ですが、これがとても重要です。
上司や10年くらい先輩の方の話ですと、昔は検査済証がなくても銀行の融資などを受けられたらしいですが、現在ではほぼ不可能です。銀行より融資の確約がもらえても、実際のお金の授受は検査済証の提示と引き換え。恐らく不正融資が多かった為だと考えられます。
しかし、工事業者への支払いは工事着工から発生するので、その間のお金をどうするかの問題が生じます。これは家を買う時に生じる問題でも、なかなか気づきにくい問題。
もう一つの大きな問題として、検査済証が無いと確認申請を伴う増改築が出来ないという事があります。
部屋のクロスを変えるとか、キッチンの交換・給湯器の交換・風呂の交換・サッシの交換くらいならば確認申請の必要は無いので問題ありませんが、増築による面積増加・階段部分の改修では必要になります。戸建住宅以外では様々なケースがあるので一概には言えませんが、より制約が厳しくなる場合が多いです。
また一般の人は「建物自体はいじらないで、駐車場に屋根を設けるだけだから」と考える人が多いですが、確認申請は敷地単位で審査するので建物自体の検査済証の有無を問われます。
まあ、殆どの人が建物の増改築などは関係ないと思いますが、最近では中古物件を買って、自分の成長(家族・経済)によって建物をいじっていく人が増えてきています。また、投資目的でマンションやビルを買って、場合によってはリノベーションして運用する人もいます。
このような場合、検査済証の有無が大きくなり、厳しい会社との売買では扱ってくれない場合もあります。
建築基準法としては「確認申請→完了検査→検査済証」はセットでやるのが当たり前の事。それが建築主の都合で受けていないだけ。しかも建築基準法では「完了検査は竣工後4日以内に申請すること」となっているので、受けてない建物はある意味違反建築物。
先日行政に聞いたら「違反建築というより、存在しない建物」扱いとの事です。
書類上は竣工していないので、確かに存在しないというは正しい。そして存在していないので違反もなにも無いという解釈は出来ます。まあ、お役所仕事と言えばそれまでですが。
一応、検査済証が無い場合でも増改築は出来ますが、それには「建築当時の法規に照らし合わせて、正当な工事が行われていることを証明」する必要があります。
建物の基礎や鉄筋・配管など、現在では仕上げに隠れて見えない部分の正当性を色々と証明しなければいけません。壁はがして・壁をコア抜きして・地面掘って…と。
色々と頑張って当時の状況を調べても、それが当時の法規に適合していたら良いですが、不適合ですとめでたく「違反建築」です。現在の技術なら補強などして適合させる事は出来ると思いますが、規模によっては建替えた方が早いかも。
当然、そういった制約は設計にも影響するので、見込んでいたプランや収支の現実は難しいです。
紙切れ一枚ですが、とても重要な紙切れです。
売買契約の時には気をつけたいです。