斜陽 - 太宰治
ISBN:978-4101006024
貴族が没落していく様を示した小説で「斜陽族」なる言葉を生み出した作品です。
今で言うと、没落していくIT長者のホリエモンなどを扱った物と考えれば良いのでしょうか?当時における貴族への感覚と、現在の長者への感覚とでは相当なずれが有ると思うので、やはり比べるのは無理があるかもしれません。
この頃の時代背景として、貴族生活・没落・気品高く・革命・女性解放などが中心として書かれており、当時の考え方を理解しないと何を目的に書かれているか分からず、全然楽しめないと思います。そもそも他人が落ちていく姿を書いているのですから、気分の良い内容ではありません。そこに思想や気品があれば違うのでしょうが、発刊当時は存在しても、現在ではどこまで共感できるか疑問です。今の世代に「携帯の無い生活を想像しろ」と言うのと似ているかもしれません。
しかし、とても暗い。人間失格と同等に暗い。
そして、とても弱い。
これが人間の素だと主張したとしても、ここまで主体が無いので良いのかと感じる。
恐らく殆どが愛人の日記の転載で、女性の文章なのが原因だと思うが、それは良いのだろうか?
色々と思うところを残す本だけど、冷静に考えてみると何も残らなかったような気がする。