デザインか機能か、そこの判断をどのように決めるかが設計には求められます。両方を満たす事が一番ですが。
それと同時に性能も求められます。
原始的に言って、建物を建てるならば雨風を避ける事は当然ですが、施主からは音・熱・風・光などの自然環境の常識的なコントロールを求められています。しかしこの「常識的な」と言うのが難しくて、そもそも目に見えないものを如何に扱うか、そしてその基準は人それぞれです。
「暑い」と言う感覚も「寒い」と言う感覚も人それぞれ違います。その人が北海道出身か沖縄出身かで全然違いますし、日常生活の送り方や鍛え方で違います。また、今まで我慢できていた人も住む家が変わると感覚も変わる恐れがあります。
一応、音・熱・日差しなどそれぞれに基準とする数値はあります。
音でしたら、床の遮音等級・壁の遮音等級・サッシの防音性能などがあり、サッシでもサッシ全体かガラス固体かなどそれぞれに実験から導かれた数値があります。最近では防音ガラスも出ているのでそれらを使えば防音性能が良くなるのかと言うと、サッシ自体の密封性が悪ければ意味が無いので単純には結論が出せない状態です。
そんなことが全ての事に言えます。
しかし設計をする者や建築に携わる者は共通言語としてその数値を前提に進めなければ話が出来ないので使用しています。またその数値自体を経験で知っているので「この数値だとどのくらいの性能」と言うのはイメージできます。特にマンションではとても重要で、建物のデザインも必要ですが、一番重要なのはこの性能を満たす事だと言っても良いくらいです。
マンション、特に分譲の場合はそれが資産になるなど完全に個人の物だけれど、共有していると言う特殊性があります。また、戸建と違い上下左右に他人が生活している状態です。その様な特殊性を安心させる根拠が性能数値となります。
この傾向はマンションだけでなく、最近の省エネルギーなどの事もあり様々な建物で要求されます。事務所ビル、特に本社ビルではその企業の環境への関心を示す為に環境負荷低減・リサイクル・性能・機能を満たした建物が求められます。このように文字に書くと当たり前の事ですが。
一般に建築家が建てる建物はデザイン重視と思われがちですが、実力の有る建築家は性能・機能を満たした上でデザインを表現しています。今ではそれに「新たな思考」と言う付加価値も表現しています。各ジャンルに専門家がいますが、それを含める「箱」としての建物の専門家として建築家は様々な状況への建築的な解法を求められます。少し古いですが、住宅における子供部屋の有無や位置や、学校の教室パターンの提案などはそうでしょう。
現在ではデザインを前面に押し出した「芸術家」としての建築家は数えるほどです。それだからこそ評価されています。
そして設計者に求められるものは「最低限として性能を満たす」ことです。
性能を満たす設計、「性能設計」と呼んでいますが、これもこれでエンジニア的な知識と経験、情報力を必要とします。やっていると設計をしていると言うより、パズルや理論武装の準備をしている感覚になります。
しかしそれらを当たり前に満たした上でデザインを満たした建物を建てなければ評価されません。
でも一般的な数値で示される数値を満たして性能設計をしても、個人住宅などでは最終的に個人の感覚の世界になってしまうので難しいのですが。
やはり最終的には会話だと思います。