近頃建築家の専門化が進んでいますが、それに伴い「建築家の対象とする範囲は狭くなり、問題があるのではないか?」と考えています。
もちろん幅広い範囲をカバーする建築家がいることは確かですが、その数は減っていると思います。
「建築」と一言で言っても、その範囲は数多く分類できます。
とりあえず建築士の試験で分けると、環境・計画・法規・構造・施工と5つに分けられます。
そしてそれぞれ細かく分けられ、温熱・音・光・単位寸法・公共寸法・単体規定・集団規定・計算・木造・鉄骨造・コンクリート造・積算…といくらでも分けられます。
では建築家はそれぞれをどれだけ知っているか?と言うと様々です。
一応試験上は全ての範囲を満遍なく知識として身に付けなければならないのですが、その知識では実務には足りません。
どんな職業でもそうだと思いますが、実務で役に立つには経験をつまなければなりません。
その経験についてもやはり「得意なものが固まる」と言うのは否めません。
木造が得意な人は木造の仕事が多くなり、他の仕事は比率として減ります。他も同じです。
そうなるとどうしても得手不得手が出来てしまいます。
個人的にはこういう傾向は仕方ないと思いますが、「不得手」のレベルが低くなりすぎて問題があるのではと思います。
デザインを専門としていても、構造や設備、工事方法や積算などの最低限の事は出来ないといけないと思います。
例え出来なくても「やろう」と言う意識がないといけないと思います。
個人的には「建築家」と言う言葉には「芸術家」の意味が一般には強いですが「エンジニア」と言う意味も含んでいると考えています。
また、建築家は建築の範囲内だけでなく、他分野への知識・興味も必要だと思います。
最近では特に施工の分野において、その傾向は顕著だと思います。
例えば最近増えている鉄板構造、これも建築の分野で考えると鉄板を曲げるなどは特殊技術になりコストなどが上がりますが、造船技術の分野で考えると当たり前の話しになります。
一般には「土木・建築」と一括りにされますが、その技術力の差はかなりあります。土木の方がずっと進んでいます。
数キロ離れた所からトンネルを掘っていって、ちゃんとつなげるだけでも凄いのに、その誤差が数ミリと言う世界ですので全く想像がつきません。
設計においても、今までは他分野であった「グラフィック」の知識が必要になっています。
仕事でパソコンを使うのが普通になり、結果として「グラフィックでの出力と設計の出力が似たようなものだから、パソコン使えれば誰でも出来るんじゃねえの?」って言うパソコンを使えない人が考えた事がスタンダードになってしまったからの様にも思えますが…
その間にある違いはとても大きなものなのですが…
色々と限界はあるかも知れませんが、自分としては出来るだけそれを無くせるように日々勉強しなければと感じています。