建築情報学へ – 建築情報学会 監修
確か一昨年からtwitterで情報が出て来て、昨年に一気に加速化した建築情報学会。事前オンラインイベントなどは参加しなかったが、内容を見ていてずっと気になっていた。内容的にかなり広く密度も濃いため、或る時を境に敢えて情報を追わずに正式に発足・発表された時に知ろうと考えた。
正式な学会発足は今年の4月だがその前段階となる概要書、即ちこの本は昨年末に発表された。ずっと読みたかったのだが中々時間が取れず、やっと先月に読むことが出来た。
内容は予想通り多岐に渡り密度も濃い。しかししっかりと整理されて書かれているので、最初に読むのには最適。
大雑把に書くとデジタル技術がもたらす建築業界への影響と、すでにそれを実践している人からの効果と課題、今後想定される内容が示されている。自動化・AI・BIM・デジタルコミュニケーション・予測・3D加工など。この流れは建築業界だけで無く、実際には様々な業界に起こっている事で、むしろ建築業界は遅れている方だと思う。飲食では食券システムやタブレット注文、セントラルキッチンなど、当たり前過ぎて気付かないけど相当前から変わって来ている。交通も医療も自動車も色々と。
建築でも少しは進んでいるが、それは組織的な大きい会社やゼネコンなどと建設が殆ど。設計では両極端で、情報を含めて平均化が出来ていない。共有が出来ていないので下に合わせなければならない場合があり、その加速が遅くなる。1990年代のCADと手書き図面みたいな感じかな。今でも残っているが、データ形式・OSの違い・独自のルールなどで、未だに変換手間などが起こっている。まあシステムキッチンも同じだから簡単に解決しないかも。
恐らくどの業界も似ていると思うが、業界は数%の大きな組織が牽引しているが、支えている・数として成り立っているのは他の小規模な会社など。個人も多い。その小規模な所へ技術が浸透するのは時間が掛かり、また変わるのが時間的・コスト的・人数的・情報量など様々な理由から難しい。しかしそれを今このままにしてしまうといつまで経っても変わらない。それ以上に世界から取り残される。この様な危機感から建築情報学会の設立がなされている。この様に僕は認識している。
書かれている事の多くは聞いた事がある事だが、実際に経験したり導入しているのは殆ど無い。しかしその触りや元になる様な事の幾つかは経験があるので、書かれている事の重要性は理解出来る。
例えばパース作成の為に3Dソフトを使っていて、またチームで動く時もあったので、データの交換性や正確度が重要になる。特に3Dソフトは入力したデータと出力が違く、図面(CAD)の様に最終的に紙で出力にならない。データを変換して画像になったものを出力する。この変換時に交点が少しでもずれるとデータとして成り立たない。簡単に言えば光が漏れるし、データ的には面なのか線なのかとかが分からない状態。そして時間が空いた時や他の人でもデータ内容が分かりやすくする為に、レイヤーのルール(名前・順番・振り分け方など)や使うデータのルール(色・太さ・出力設定など)を統一しなければならない。これらはとても細かく面倒だが、デジタルを使用する上では最低限必要な行為。デジタルはしっかりと設定されているからこそ多様に応用出来、共有も出来る。
この時の経験があるので、僕は最初の設定確認が細かいし時間をかける。最初の部分でしっかり設定すれば、その後のコピーなども同じルールで扱える。逆にそこを時間が無い・それより先に早く進みたい・面倒などと蔑ろにすると、後々対応する時に無駄な作業を発生させる。簡単な事だが、物件名変更とかが最たる例。最終提出の時に何時も掛けて名称変更なんて馬鹿げている。今はそれに一発対応しているソフトもあるが、それでも設定が必要だし、導入するにはコストが掛かる。
他の事例も想像する事は出来、今ならまだ自分の考えに取り入れられると思う。また知らなかった事も学ぶのにまだ間に合うと感じる。しかし今を逃すと着いていけなくなると感じている。それ以上に、後5年・10年くらい、ものによっては来年とかには設計で常識になっている考え方もあるかもしれない。そのくらい変化は早い。
僕はまだ着いていかなくてはならない年齢で、変化に対応しないと仕事がなくなってしまう。今でも手書き図面の事務所はあるが、それは特化しているからでその価値を提供出来ているから。その様な人はごく一部で、僕のスタイルからはそれを目指すのは違う。その意味でも建築情報学会は助かるし、追わなければならないと考えている。
まずはこの本に書かれている内容や紹介されている事例やアプリなどを経験し、そこから得られる感覚を咀嚼しながら考えるを繰り返す必要があるかな。