日本の川を旅する-野田知佑
ISBN:978-4101410012
日本のカヌーイストの第一人者(冒険家も?)、野田知佑の作品。日本ノンフィクション賞(新人賞)受賞作品。
1985年に出版されていますから、実際に川を下ったのは80年代前半。昭和50-55年位。北は釧路川から始まり、北上川、信濃川、多摩川、四万十川などをカヌーにて一人で実際に下った事が書かれています。
僕は本を読むまで、カヌーはスポーツ的なイメージが強く有ったのですが、野田さんの考え方・行動などから移動手段としての、もっと生活に密接したカヌーの魅力を知りました。水が嫌いな僕でもうらやましい、やってみたいと思わせるすばらしさです。
単に上流から下流まで下るのではなく、途中で出会う釣り人・村人などに声を掛け、時には家に連れて行かれ食事・風呂まで戴いてしまう。でもそれがお互いに全く不自然でなく、昔の旅人をもてなす感覚、それぞれが出来る事を提供して共存する事をしています。一食一寝のお返しに、老人の家だとマッサージや力仕事の手伝い、話し相手などをして次の目的地に向かいます。
目的地もおおよその予定などは有りますが、途中は何も無く、川を下っていて気持ちの良さそうな河原が有ればそこに上陸してテントを張り、椅子を用意して食事・酒・ギター・読書と生活をしていきます。気に入れば数日滞在して、街へ歩いて遠征する事も。
良くこのような生活はうらやましいと思うことを実際にやっています。しかしそれには色々と乗り越えなければならない事があり、想像以上に大変な事です。
また、この本は1975年過ぎに書かれているのですが、この時点から川の汚染に対する啓蒙をしています。この時点で清流は殆ど無くなり、かろうじて四万十川が清流と書いています。北海道の川でも開発が進み自然の川でなく、人工の川になってしまった事を嘆いています。
多摩川にいたっては「どぶ川」とまで書いています。確かに昔の多摩川はとても汚く、僕自身はしらなくても、母親が世田谷に住んでいて身近に生活をしていたので、幼い頃からその事は聞かされていました。最近では鮎や鮭を放流して戻そうと活動していますが、昔は洗剤の泡が浮いていて、異臭が漂い、川に入ろうという気すら起きない川だったそうです。母親はそれ以前の綺麗な多摩川を知っているので余計その変化を感じ、僕に話していたのでしょう。
この本が書かれていた時に危惧されていたこと、それらは30年ほど経った現在では現実になっています。そして30年ほど前に野田さんが頑張って訴えてきた事を、その時点では「そんな事は起こるはずない、信じられない」と言って無視してきて、現実に起こった時にあたふたしている状態になっています。中国と同じです。
出版された当時に読んでも良かったと思いますが、それから大分経った現在に読んでこそ、その凄さと大事さ、偉大さが解ると思います。
読みましたよ。この本。もう20年位前になりますけどね。年を取るにつれて物欲と言うか、モノにはこだわらなくなってきて、逆に不便な旅?に対する憧れがますます大きくなってきてます。今はその実現に向けてココロの準備をしている段階です。
>>らりおさん
不便な旅というか、旅とは元々不便なんでは無いかと思います。最近のは旅行・レジャーって感じではないでしょうか。
何かを見つけるために旅に出る。目的地ではなく、その道程の方が大事です。
らりおさんの目標の「清潔なホームレス」に通じると勝手に感じています。
多分ココロの準備は十分では?