1973年のピンボール - 村上春樹
ISBN:978-4062749114
デビュー作「風の歌を聴け」とこの後の作品「羊をめぐる冒険」を合わせて「青春3部作」と呼ばれる事が多い作品。4作目の「ダンス・ダンス・ダンス」を含めて4部作と考える人もいるらしい。
今読むとそうでは無いかもしれないけど、70年代の新しい・若い風を感じる文章と内容。
作者はあえてその様に書き、出てくる人物や車・音楽・食事などの描写も気障だが、逆を考えて「それだけあこがれている」「コンプレックスを感じている」という、その当時の若者の心を書いていると考えるのは深読みしすぎか?
「風の歌を聴け」ではさらっとした感覚を残して終わり、それだけ完結させていても成り立っている。しかし続ける事によって各作品の意味が成り立ち、全体も構成されている。全然インタビューとかを読んでいないから判らないが、この方針はデビュー作を発表した時から考えていたのか、後から考えた事なのか?
Led Zeppelinのジミー・ペイジが初期の4作品の構成を最初から考えていた、という逸話と重なり興味深い。
読んでいけば読んでいくほど「何を言いたいのか」が判らない。
何一つ適格なものはなく、淡々と不自然な日常が続いていく。
しかし全体としてなんとなく方向性や雰囲気が伝わってきて、現実の毎日の様に体の中を過ぎ去っていく。
最初に読んだ時はそう感じた。
しかし後作「羊をめぐる冒険」を読み終わると、この作品の重要さがわかる。
この作品がなければ「羊をめぐる冒険」は成り立たないし「風の歌を聴け」も弱くなる。
だけどこの作品単体では成り立たないところに、作品の地味さが出てきているのだと思う。