この間事務所にBIM CADの営業が来まして、実物を見ることが出来ました。BIM CADとはBuilding Information Modelの略で大雑把に言ってしまうと、パソコン上で建物を建ててしまう3D CADの事です。
パソコン上で全てをしてしまうので、部材一つ一つに情報を持たせる事が出来ます。部材の大きさや重さなどの情報はもちろん、品番・メーカー名・価格などの個別の情報から始まり、断熱性能・遮音性能などの環境への影響力などの情報も持たせる事が出来ます。
これは今までのCADでも設計の時点で施工を考慮した図面を描けば収まりを検討できましたが、3次元なので今まで以上にスムーズに検討出来、また設計だけでなく図面を描いた時点で手戻り無く構造計算や積算、CASBEEの評価などへ移行出来ます。
上手く利用すれば大幅に手間を省けますし、現場でも無駄を省くことが出来てコスト・工期などが押さえられます。
しかし便利な反面問題も有ります。
第一として価格が高いため簡単に導入することが出来ません。日本の場合JWCADと言うフリーソフトで実務をこなしている現状が有りますから特に敷居が高いです。この問題は日本で高機能CADがなかなか根付かない問題でも有ります。確かにJWCADでは手書きで描いていた図面を描くことは出来るので仕事としては問題ないのですが、CADで描いているという利点を生かす事がしづらいです。データの使いまわしなどは出来ますが、リンク機能や計算機能などが付いていないので思考方法としてはアナログです。
他の問題としては初期入力者へのウェートが大きくなることです。パソコンで扱うデータ全てに言える事だと思いますが、初期設定がしっかりしていないとその後使うときに使えるデータになりません。Excelでも最初のフォーマットがしっかりしていないと分析に耐えうるデータにならないのと一緒です。データ物は一つでも抜け画有ると正式な結果が出なくなるので、最初に入力する人がどこまで定義するかによってその後の手間が大きく変わります。特に後からデータを手直しする場合は時によっては一から入力した方が早い場合も有ります。
これは設計者としては問題なのですが、施工や構造・積算などの多分野への知識を必要とする事もあげられます。施工や構造にとらわれて自由なデザインが出来なくなるのも問題ですが、造れないものをデザインするのも問題です。その両方のバランスを取りながら設計する技量が問われますが、なかなか出来ていないのが現状です。特にCADを使いこなすのは若い人に多くなりますが、若い人ほど経験や知識が無いため建築としての技量は劣ります。逆に経験や知識がある人はCADの知識が劣る場合が殆どです。しかしパソコンが導入されてからだいぶ時間が経って来たので、これからのバランスに期待できる部分は大いにあります。
色々課題が有るCADですが魅力も大いにあります。一般的に大規模な事務所での使用が良く見られますが、自分としては少人数の事務所程使いこなしたら有益だと思います。確認申請用の図面と実施図面、平面図と立面図・断面図など他図面へのリンクも出来ますしパースまでも描けます。最初の導入が厳しいですが可能性は大きいです。
恐らく事務所では導入することが無いと思いますが、個人的に少しずつ勉強していこうと思っています。自分の場合は昔使っていたVectorWorksがBIM CADなのでそれを学び直そうと思います。これから先どんなCADを使う様になるか判りませんが、自分が個人で事務所を構える場合はVectorWorksを使うと思いますし、日本で使われている主要なCADでも有りますから無駄にはならないと思います。まあ、あとAutoCADを覚えたら主要なものは制覇するのですが。
とりあえず本を立ち読みしに行こうと思います。