23日の朝刊で「建築確認申請の簡素化」の記事が載っていました。
自分の仕事のど真ん中を通る内容です。
しかしその素案を見て「やはり現場と役人の温度差」を感じます。
そもそも一度変えた法律を簡単にまた変えられては現場が困ります。
一番の目的は確認申請を簡素化して着工しやすくするためですが、超高層などの建物は判りませんが、31m超えない位の建物ならば現在では法改正以前と同じくらいの期間で確認を下ろせるように近づいています。
今は事前相談と言う名前で確認申請作業を前倒ししている状態です。建物の企画から始まって着工までの実質期間はそれ程変わっていません。
実際に現場で作業している人間は頑張ってそこまでこぎつけたのです。
それがまた国交省の気分で変えられるとなったら再度やり直しです。
まず最初に確認申請業務と構造適合性判定業務を同時にするとなっていますが「船頭多くして船山に登る」状態になると思います。
民間の確認申請機関はまだしも、構造適合性判定機関が確認申請機関のチェック事項とすりあわせをして、お互いに矛盾の無い指摘事項を挙げてくるとは想像が付きません。
しかも前回の法改正で問題と言うか、評判が悪かったのは必要でないような書類が多かったことです。
そこについてはシックハウス関係のデータベース化ぐらいしか触れられていません。実際には認定書、チェックリスト、図面への書き込みの量などが増えて作業量が多くなりました。
しかし認定書に関しては紙の無駄だと思いますが、チェックリスト、図面への書き込みについては法改正後の方が良いと自分は思います。
それ以前があまりにもルーズだったと思います。
確認申請業務は有る意味設計者の一番必要なスキルだと思います。
それが法改正になったくらいで対応に困るというのは問題だと思います。
その頃自分はまだ一級を取得していませんでたが、実務は普通にやっていましたので問題に思いませんでした。しかし一級を持っていても実務に直接関わらなかったり、部下に作業させっぱなしにして現状を把握していなかった人たちが対応に困り苦情を言ったというのが殆どだと自分は感じています。
もちろん進行中の物件で影響を受けたり、大規模な物件で単純に作業量が増えて対応に困った人もいるでしょうけど。
今回の確認申請の簡素化、そしてそれに続くであろう建築基準法改正でどうなるかは自分の仕事に直結するのでその内容は重要です。
しかし自分としては確認申請業務の法適合の確認事項などは残して欲しいと思いますし、罰則に関しては厳格化して欲しいと思います。
特に建設界は小沢問題などで騒がせているように、道徳心が重要です。
自分が勤めている事務所は社員3人の弱小個人事務所ですから、何か問題があったら倒産に直結します。なので一つ一つの判断が重要で緊張感があります。その判断は技術的な判断はもちろんですが、道徳的な判断も重要です。信頼無くなれば仕事がなくなりますから。
今の建築界に必要なのは、税金のマルサの様に抜き打ちの監査や定期的な技術講習や技術確認だと思います。