近代建築の五原則と都市計画

20世紀の現代建築の巨匠、ル・コルビジェが提唱した「近代建築の五原則」というものがあります。
・ピロティ
・屋上庭園
・自由な平面
・独立骨組みによる水平連続窓(ドミノシステム)
・自由な立面
この五つです。
この内最後の三つは建物だけで完結しているので理解がしやすいです。
お互いが個別の事を言っているのではなく、自由な表現を目指しているのが判ります。
また、これら三つは現代でも当たり前のように建築に取り入れられています。
特に日本の場合、柱・梁の構造形式を基本としているので「独立骨組みによる水平連続窓」と言うのは在る意味身近に有りました。
現代ではカーテンウォールがその完成形でしょう。
「自由な平面」「自由な立面」というのは「構造形式に縛られない平面・立面」と考えることが出来ます。
西洋の場合、基本的に壁で建物を構成していくのでどうしても平面・立面に制約がありました。
しかしコルビジェが考案した「ドミノシステム」によって構造と意匠が切り離される事が出来て、自由な表現が出来るようになりました。
日本ではそれよりも前からある意味ドミノシステムのような考え方を構造形式として取り入れていたのでそれほど画期的に感じませんが、西洋の人から考えたら大きな進歩だったと思います。
しかしこの五原則の最初の二つ「ピロティ」「屋上庭園」は、個人的になかなか理解できませんでした。
この二つは現代でも建築に取り入れられている事は取り入れられていますが、他の三つに比べて現代では見ることが少なく、今、現代建築を学ぶ者としては身近ではありません。
現代では「ピロティ」は都市部で住宅を建てる時に、駐車場を確保する為に1階をピロティ形式にする場合が主な取り入れ方の方法ですし、「屋上庭園」は省エネルギー、温暖化防止などコルビジェが提唱した時よりもっと近代になってからの要因で取り入れられています。
ではこの二つは建築にとって無意味なものだったのかと問われたら、やはり有益なものだったと答えるべきでしょう。
当時は建築家がまだ都市計画までその範疇に入れていた時代でした。
都市計画の考え方から「ピロティ」「屋上庭園」を考えると当時五原則の中に取り入れたのが理解できると個人的には思います。
「ピロティ」は土地を一続きに考えるために必要で、敷地という考えで限られた地面を区切るのではなく、建物を上空に上げる事で地面を自由にし、万人が使えるようにと意図したと自分は考えます。
「屋上庭園」は建物単体で見たのではなく、丁度人工衛星から建物を見たときと考えた場合、地面がパッチワークの様にならないように提案したのではないかと考えます。
このように考えると当時はマクロな視点で建築を考えていたことが判ります。
現代でも土地の性質を読んだり、周辺環境を考えたりしますが、なかなか当時のように考える事は少ないと思います。
端的な例として丹下健三の「軸線」が挙げられます。
丹下健三もその昔都市計画を考えています。
自分はどうしても最近では色々な事が細分化されて、ミクロの視点で見ることが多くなってきています。
もちろんその考え方は大事なのですが、大きく全体を捉える事も大事なのではないかと最近は考えます。