図面の著作権

最近は図面もCADで描くようになり、データのやり取りも簡単になりました。
色々と便利な事が増えた反面、問題も発生しています。
大きな問題として、図面データが簡単に渡せる事。
細かく言うと、図面の著作権です。
設計をやっている段階で構造・設備設計者へ図面を描いてもらうために、下書きとして意匠図を渡す分にはデータでやり取り出来るようになったのはとても助かりますし、時間も短縮できます。
しかしこれが施工者や施主・デベロッパー(不動産会社)などに渡すようになると色々問題が出てきます。
施工者に渡す場合の問題はまた別の機会として、本日はデベロッパーの場合です。
昔は紙で渡していたのでデータの2次利用と言うのは殆ど無かったのですが、現在では簡単に元データが渡せるので問題になっています。
極端な例を挙げれば、コピー&ペーストすればいくらでも使い回しできて殆ど自分で図面描かなくても完成するし。
(社内ではそうやって作業量を軽減していますが)
デザイン業界でもこのような問題があるみたいで、ポスターなどの完成データを欲しいと言うクライアントは多いらしい。
契約にもよるけど一般には完成形のみを渡し、データは渡さないのが普通になっているみたい。PDFが出来てからは少しはましになったみたいだけど。
ですからデベロッパーといえども関係は設計者と施主です。
工事が完了して引渡しの時ならば協議をして渡すことも考えられますが、基本的に図面は印刷して渡すようにしてデータは渡しません。
いつ契約が切れるかも解りませんし。
必要なデータだけもらって契約を切って、以後はもっと安く出来るところにやらせるって言う方法もやろうと思えば出来ることですし。
ここらへんの事情は設計者などの作業をしている人は結構考えているらしですが、受け取る側のデベロッパーはあまり考えていません。
何故かすぐにデータを下さいと言ってきます。CADソフトも持ってないのに。
どうするのだろう?
単純に最近は仕事の全てをデータ化して保存するからその一環なのでしょうか?
ちなみにデベロッパーと仕事をする場合、設計事務所が直接デベロッパーと契約を結ぶ場合も有りますけど、施工会社が設計施工を一括して請負い、設計事務所が施工会社と契約を結ぶ場合も有ります。(すなわち下請けです)
この場合、設計事務所とデベロッパーはなんら契約を結んでいないのでデータのやり取りなんて言語道断です。
まあ、デベロッパーの担当者レベルではそこまで考える必要が無いから仕方が無いのかも知れませんが、契約関係の担当者はここらへんを気にして欲しいです。
また、設計者も自分を苦しめないためにも自分のデータを大切にして欲しいです。

この記事へのコメント

  1. ややこしい問題ですね。
    自分の場合そこまで組織相手の仕事ではないのでお客さんもオリジナルデータがほしいとは言ってきませんし、施主のPC環境によっては図面をPDFにして確認してもらっています。全体の図面をガッツリということはしませんが。ひとまず伝達手段の一つまでです。
    図面の著作権関係という意味において詳しくわかりませんがCADデータとして渡すときは相手によっては事務所名が入った枠を消してとかはしてますが結局まだまだ使いまわされてもいいほどたいした図面書いていないので。
    といっても、一式そろった図面になるとやっかいですね。実施設計終わったのに工事契約がオジャンになったとかはいやですね。そのタイミングでほしいといったら確信犯ですね。設計契約の中にひとつ注をつけておけばいいかもね。「万が一、設計終了後に話が破綻したときにはその設計案の扱いようによってはロイヤリティをつける」みたいに。
    責任は負う必要はないし、コピー活用した事務所の責任だし実際全く再利用されても、内容をインプットする意味ではもともとの設計者しかわからないだろうし、同じ図面でも工務店によって多少作りは変ってくるし、自信がある設計ならば「自分のイメージどおりに読みとってみろ!!」って感じでもあるけど。
    ある程度使いまわされはするけど、自分にダメージが来ることは無いと思うけど、逆にそういうことでもともとの設計者に責任が回ってくるなんてことは契約が破棄された時点でなくなってるんじゃないだろうか。

  2. kagamiさん
    図面を確認するためのPDFは便利ですし、わざわざ届けに行く手間も無くなるのでとても助かります。
    (説明が必要で手渡しで渡さないといけない場合はPDFで送るのを断る手間がありますが)
    いくつか仕事をしていると何故か図面を欲しがるデベロッパーがいるのですよね。それも意匠図だけでなく構造・電気・設備も。読んでも解るのか?と。
    うちの場合は図枠を消すことはしませんね。むしろ図枠を入れるようにしています。本文のように著作権を主張する意味もありますが、責任の所在をはっきりさせる方が強いかな。
    もちろん役所の仕事などで図枠が決まっていたり入れられない場合はそれに従いますが。
    >実施設計終わったのに工事契約がオジャンになったとかはいやですね。
    今まさにその状態です。
    実施終わって、見積終わって、確認終了間直で着工日も目処がついていて後は契約するだけの状態でゼネコンが…
    デベロッパーは次に動く為に図面を手元に欲しいのだろうけどデータはね…
    このような状態じゃどう使われるか想像つきますし。
    契約で先に謳っていれば良いのだけれど、四会連合の契約書を使っているはずだからそんな事載ってないはず。今後はそういう部分まで神経使わないといけないな。
    最近の風潮を見ていると、使いまわされるのはまだ良いけど、勝手に使いまわしておいていざ不具合が出るとクレーム付けるおかしい人がいるから気をつけないと。
    まあ、そこらへんの法律関係も少しは詳しくならないといけないみたいだね。