「REMN YOYOGI」内覧会レポート|KEY OPERATION 小山光
2026年7月9日、代々木にてKEY OPERATIONの小山光さんが手がけた「REMN YOYOGI」の内覧会に参加してきました。
【敷地について】
今回の建物は鉄骨造の細長い事務所ビル。場所を聞けばなんとなく想像できるのに、いざ行くと「あそこに敷地ってあったかな?」と思わずつぶやいてしまうような場所に建っています。
新宿駅から歩いていくと徐々に建物が見えてくるのですが、並びに高い建物があるため近づかないとなかなか全貌が見えない。前面道路の幅があるので、道路の反対側から眺める機会も少ない。角地なのに、そういう不思議な感覚がある敷地です。

小山さんの説明を聞いて納得できました。この敷地、一見すると角地のようですが、隣地が敷地内に入り込んでいるため、法律上は角地にならない。ただ、その入り込んだ部分は公開空地のようなもので建物は建たず、抜けが確保されています。前面道路側も権利関係により一部を敷地から外していて、将来的にも建物が建つ可能性はほぼない。
つまり、敷地面積は狭いながら、周囲に空地が点在している状態。「抜け」という観点では恵まれているけれど、面積や斜線制限という観点では厳しい敷地です。外から見ていると面白いと感じますが、設計する側は相当大変だったと思います。

【敷地を読み込んだ計画】
小山さんが解説の中でも話していましたが、この計画は徹底的に敷地を読み込んだ結果だと感じました。
・周辺の空地を活かした「抜け」の設計
・代々木側を表とした立面構成
・階段とエレベーターの配置
これらはいずれも、図面の中だけで考えるのではなく、現地に立って考えた時に初めて「なるほど」と思える回答です。
その計画を実現するために、エレベーターの角の柱はかなり頑張っています。図面で寸法は確認しませんでしたが、相当な苦労があったはずです。
【エレベーターコアの話】
EVの昇降路に構造躯体を収めると見た目はすっきりしますが、その分の面積を取られ、全体としては余裕がなくなります。容積対象外になるとはいえ、その部分を容積確保するために階高を上げれば、斜線・構造・コストにも影響が出てくる。コア周りをどこまでコンパクトにできるか?でも、コンパクトにしすぎると使いにくくなる。そのバランスをどう取るかが問われる部分です。
小山さんは竣工後の使い勝手についてもよく語られるので、今回も地味だけど相当練られているなと感じる部分が多くありました。

【細部の話】
外部階段の雨仕舞いは、床に穴を開けるシンプルな処理。一方、屋上手摺については下部に目隠しが必要と話されていました。おそらく、そういったわずかな操作が寸法の積み重ねとなり、全体の余裕につながっているのだと思います。



内部から外を見ると、道路側正面に開かずに済んでいる理由がよくわかります。明治通り・代々木駅への道路・JRの線路、これらの方向に視線が向いているので、眺望は将来にわたって確保できると思います。
外観は窓の開口高さで決まっているのですが、この操作は三軒茶屋の案件でも見られたはずです。おそらく基本的な考えは踏襲しつつ、どこかで何かをアップデートしているのではないかと。似た条件のプロジェクトを重ねることで、こういった部分に蓄積が生まれる。目立たないけれど、事業者側にとっては確実に助かる何かにつながっていると思います。

【景観条例の話】
最近、自分たちの仕事でも景観条例への対応が増えていて、説明の中で出てきた行政指導の話はよくわかりました。担当者と話してもなかなか建設的な議論にならない、どうにかできないか、といつも思っています。恐らく、違う視点や文脈から考えてもらえる機会をつくることが必要なのかもしれません。
いつも刺激的な内覧会、ありがとうございました。