白痴 - ドストエフスキー
題名の通り、主人公は知的発達障害者である。
しかしこの物語を読み終えると、作者は白痴の人間を書きたかったのではなく「正直な人」「美しい人」「無垢な人」を書くために条件の合う人物を探していたら、それが白痴者だったという風に考えた方が良いのだと思う。
物語の表面は良く分からない話。当時のロシアの風習や考え方、ナポレオンとの関係、宗教的な考え方などを知らないと登場人物の行動が理解出来ないと思います。ただ、気をつけて各人物の発言とその意図、他の人との関係や会話の遮り方などをみると別の面白さが出てきます。
作者としては一連の出来事を通じて、出来事とは全く違う次元で人間の心や理想・哲学を表現したのでしょう。自分では最近それが文学だと思っています。
一連の出来事も、最後のまとめ方などはとても面白かったです。しかし全体を通してみると「賢ければ良いのか?」「無知は悪い事か?」「馬鹿正直は悪いのか?」など色々考えさせられます。