雪国

雪国 - 川端康成
ISBN:978-4101001012

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった…」
とても有名な書き出しで、文章を書く人間にとっては憧れる文章でしょう。

このトンネルは関越トンネルで、越後の国へ入った時から物語は始まります。
そして出会う。
それだけです。

極端に言うと、本当に雪国で男女が出会い過ごす。これだけです。
その過程は有るが、結果はありません。
それだからこそこの物語は美しく続いていきます。

ノーベール文学賞作家の作品なので難解かと、物語の奥に込められている物を掴もうと構えて読み始めましたが、読み進むとそんな事は一切忘れ、文章に入り込みます。
そこはとても美しく、日本人の美、間が描かれています。
なんとなく正月に感じる空気に似ています。
文章は難しくなく、自然とその情景を浮かべる事が出来ます。
夏目漱石の文章にも同じ事が言えますが「難しい=文学」というイメージで無い事を証明してくれます。

物語は突然終わります。
それが余計この物語を美しいままにしてくれます。
そして余韻は残りますが、それ以外は残りません。
自分の中で反芻するものはあるかもしれませんが、文章表面には出てきません。
しかし読んだ後に嫌な気持ちは残りませんし、むしろ「読んで良かった」と言う気持ちの方が強いです。

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった…」
この有名な書き出しの結果を知るためだけでも、十分な読むきっかけになり、それに値する物語だと思います。