風林火山-井上靖
ISBN:978-4101063072
題名から分かるように武田信玄を書いた本です。ただ内容から言うと武田信玄でも、その軍師「山本勘助」を主人公においています。
元々「風林火山」自体は信玄の言葉でなく、中国の兵法書「孫子」に書かれている言葉です。そして南北朝時代の北畠氏がこの言葉を軍旗に用いたのが最初であるといわれています。同じ源氏の流れとして信玄が用いたのかは分かりませんが、今では「風林火山=武田信玄」の方が一般的でしょう。
後から知ったのですが、この本は2007年NHK大河ドラマの原作となった本です。そういえば殆ど観ていないですがあのドラマでは山本勘助が主人公でした。そして演出のためか原作のためか分かりませんが、どこと無く重いというか堅いというか、そのような雰囲気を持っていたのを記憶しています。
この本も書かれたのが古いためか、表現が最近の小説ほどくだけていないので堅い雰囲気になっています。また、武田信玄自体の描き方も同じです。
先に読んだ新田次郎の武田信玄と比べると、圧倒的に新田次郎の方が人間的に描かれています。ただしそれは好き嫌いであり、小説ですからそれぞれの作者の思い入れがあり、人物の書き方があります。恐らく大河ドラマを先に観たり、山本勘助の好きな人が読んだらこちらの本の方を気に入るのだと思います。
また、どちらの小説でも諏訪家の娘で信玄の側室である、後の武田勝頼の母の扱いが特殊であるのが興味あります。恐らく資料が少ないが「武田勝頼の母」と言う史実があるために避ける事が出来ない人物なのでしょう。しかしそれだけ重要人物であるからこそキャラクター付けが難しい。ここに著者の考え方と色が出ていると思います。