普段なにげに見ている玄関ドア。
気づいているか解らないけど殆どが引き戸か外開き戸。
日常で見る扉がこんなんだから設計するのも殆どが引き戸か外開き戸。
でも何でこんなに引き戸と外開き戸が多いのだろう?
正確な理由は解らないが、色々本を見ていると歴史が関係しているらしい。
ここで引き戸は一度置いておいて、外開き戸を考えてみる。
一般に日本は外開き戸が多く、海外(特に欧州)は内開き戸が多いと言われる。
実際には海外に行った事無いから解らないけど。
理由は戦争。
日本では沖縄を除いて国内で戦争が起きた事が無く、欧州は長い間国内での戦争が起こっていた。
そうなると個人レベルで防御を考えるようになる。
日本の場合は明治維新くらいまで庶民の建物は木造建築だから玄関だけ守っても意味は無かったと思うけど、基本的には外敵から守る事は無い。
戦国時代は守る必要が有ったかもしれないけど、この時期は庶民も殿様についていて戦争が起こったら一緒に戦っていた様なものだから自分だけ守ると言う概念自体が有ったかすら解らない。
そういう事を考える庶民は山奥に住んでいそうだし。
それにこの時期の庶民の建物は技術的に開き戸なんて無かったと思う。
何下に金物の無い時代には開き戸の釣元に使う構造は難しかったと思う。
一方欧州では逃げる場所が無いから自らを守らなければならない。
避難所なんて無いから家で守るしかない。
欧州は昔から石の建築だから基本的に開口部さえ守れば有る程度はやり過ごせる。
産業革命以後の火力での戦争以後はどうにもならないけど、それ以前は人力だから石造の壁を壊すのは困難だから結構開口部を守る事でやり過ごせたと思う。
庶民の家なんて略奪の為だけに攻めると思うからそんな時間を掛けていられないと思うし。
この様な自分で守らなければいけない時に考えついたと思われるのが内開き戸。
欧州の玄関扉はぶ厚く重厚なのが多いけどそれは守る事が大元だと思う。
ぶ厚ければ弓矢なども防げるから。
そして開き方。
外開きだと防御として役に立たない。
良く海外を舞台にしたアニメなどにも描かれているが、守る時は扉の内側に色々と家具などを置いて守る。
こうする事によって力で開ける事が難しくなる。
どんなに頑張っても奥に物が有ったら開ける事はほぼ不可能。
でもこれが外開きだと何の役にも立たない。
扉を開いて中に置いてある物を一つ一つ取り出せば小一時間で簡単に突破出来ると思う。
多分これが欧州で内開きが多い有力な理由だと思う。
恐らく程度が高い家だと開口の大きさよりも扉の大きさの方が大きかったのだと思う。
それが壁の内側に付いていたのだと思う。そうすれば外から扉を壊して入る事も不可能だから。
この様な理由で欧州は内開きが多くなったと思われるが、日本の外開きが多い理由はまだ有ると思われる。
それは水の問題。専門用語(かな?)だと雨仕舞。
単純に外開きの方が中に水が入って来ない。
簡単に考えられるのが窓が雨に濡れていても内開きだと濡れた扉が中に入って来るので中に水が入って来るけど、外開きならその問題は無い。
後、細かい構造的な問題だけど外開きの場合は外に水を逃がす構造に出来るが、内開きだとどうしても中に水が入る構造になってしまう。
以上の様な理由で日本の玄関ドアは外開きが多いと思われる。
で、一度置いておいた引き戸に関しては単純に日本の民家の歴史から来ていると思う。
上にも少し触れたが開き戸と言うのは構造的に引き戸より難しい。
引き戸も滑らかに動くようにするには結構な技術を要するが、開け閉めだけを求めるならば単純。
昔の家では雨風を防げて扉が閉まればそれで良かったと思う。
そうなると単純な引き戸が玄関に使われる。
ここで昔の日本家屋で何故引き戸になったかを想像してみたい。
個人的に思うのは以下のような流れだと思う。
人類が家(雨風をしのぐ道具)を手に入れた当初は当然扉など無かったはず。
竪穴式住居などを見ればそれはわかる。
しかしそれでは完全で無いし、どんな外敵でさえも入って来る事が出来て不便なので扉をつけるようになったと思う。
そうなった時どうしたかと言って想像できるのは板を立てかけたと思う。
普段は板を立てかけておいて、出入りの時だけ横にずらして使う。
この習慣がずーっと続いていたと思う。
室内の引き戸は結構前からだと思うが、玄関引き戸などは江戸時代位までは引き戸のレールも無かったと思う。
それが現代まで使いやすくなってきてそのまま来ているのだと想像する。
実際に仕事をしていて、玄関扉の種類を考えてもそれ以上を考える人は少ないし。
しかし僕の好きな建築家の一人の宮脇檀は玄関は内開きの方が良いのではと提唱していた。
それは人を迎え入れるのに外開きだと一度後ずさりさせるので迎え入れる感じがしないから。
確かに内開きの方が招き入れると言う感覚は大きいですね。
しかし上にも述べた通り日本では雨仕舞の問題も有りなかなかそうはいかない。
でも個人的に有る程度はそれも設計でカバーできると思う。
玄関自体に雨が入って来なければ済む問題だし。
どちらかと言うと、雨の問題より敷地の狭さの問題かな。
これからは玄関を入る時は扉の開き具合に注意してみて下さい。
内開きなら結構考えられている家だと思います。