ノルウェイの森

ノルウェイの森 - 村上春樹
ISBN:978-4061848924

確か22歳の学生の頃に初めて読んだ。曇り空の中の早稲田大学付近の公園で読み、帰り道に雨が降り出し、途中の神社で友人から電話が掛かって来た。池袋にたどり着いた時にはだいぶ疲れていた。
何故かこの記憶が強く残ったためか、内容よりも全体のイメージしかない。とても疲れ、喪失感のある小説だと。その為か、殆どと言って良いほど内容を覚えていなかった。

確か2010年前後に映画化、2010年末に公開の発表がされた。
丁度他の村上春樹作品を読んでいたし、一通り読みたいと思っていたところだったので、内容を覚えていないこの作品も再読しようと購入。古本で初期の文庫版、有名な赤と緑の装丁でないところが気に入った。

当初は映画公開の前までに読み終わろうと考えていたが、それまでに積読していたものや、諸々が重なり、結局2月頃に読み終わったと思う。

歳を重ねたからか、しっかり読んだからか、他の情報が入っていたからか、全然自分が思い描いていたものと違っていた。そもそも外国が舞台だと思っていたが国内。

世間では恋愛小説とされていたり、性描写が過激、何を言いたいのか分からない、現実味が無いなど言われるが、僕は全然そんなことを感じなかった。やはり初期の紹介文で書かれていた「喪失と再生」が正しいと思う。決して恋愛小説では無いと思う。
展開や行動には関連性が有るが、その根拠が書かれていないものも多い。しかし普段の生活で根拠を説明出来る行動なんてどれくらいあるのだろう?「肉を食べた」にしてもどれだけ説明出来るのだろう?
そして、喪失している人間がどこまでそれをできるのだろう?
とても普通の人間を書いた作品だと思う。

最後まで読み終わった時に、再度導入部を思い浮かべる。それがとても納得出来る。

時を隔てて読んだ感想は全く違ったけど、終わった後に寂しさが残る部分は同じだった。
もう一度読むかは分からない。